そらいろつうしん Last Update:2008/01/24   First Update: 2008/01/14

帰ってきた、そらいろ号 <前編>

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最初期型のSRXはシリンダーにクリア塗装が施されておらず、
おまけに表面が梨地であるため、汚れ易く、またその汚れがなかなか落ちない。

汚れたシリンダーを相手にそのまま作業を進めるのはNAGの美学に反するようで(笑)、
仙人殿は極細目のサンドブラストを優しく施してじっくりいぢめ、こんなにも美しく仕上げてくださいました。
エア圧を強くしたり、粗めのブラストを使用したりすると、却って肌荒れして後で汚れ易いそうな。
仕上げはシリコンスプレーを軽く吹いて、ケアしまぅ。

「先行者」の顔みたいだ(汗

「中華キャノン」発射位置を想像できるとこがヤダ。

20年以上の歳月を経て、やはり黄色く変色しているクランクケースに載せたとき、
「腰から上だけがぴかぴかでお間抜け」とゆうささやかな問題はスルーします(笑

こんこん叩いて くるくる回して ハイ、折れました〜。てへっ♪
エグゾーストのスタッドボルトは、オーバートルクがかかりがちな場所。
締め付け過ぎで曲っていたので、打ち換えていただくことに。
でも、旧いスタッドを抜く過程で一本折れちゃったみたい。
自宅での作業中ならがっくりするところですが、なにしろここはNAGのファクトリーなので無問題(笑)
暗くて写っていない排気側。割と見たくないかも…。 プライマリ側は無事ですが…、 セカンダリはえらいことになってます。
さて、お次はヘッドをチェックしていきましょう。
片方のポートに問題が発生していることが二秒で分かりますね orz
 
ポートとバルブガイドは、以前ボアアップしたときに少し削っています。
バルブガイドは、作業者が邪魔になるのでCUTする場合が多いようですが、
CUTすると、バルブステムやガイドが早く摩耗してオイル下がりやシート不良を起こす原因になるそうです。
歯医者さんのドリルを思い出して、
奥歯が痛んでくるのは僕だけ? 職人の宝物。 地味ながら、根気と慎重さを伴う作業です。
仙人殿の七つ道具…、どころか、数え切れないほどのシャンクが、用途別に分けて整理されています。
そう、単にオイル下がりの修理だけではなく、
NAGスペサルポート加工を施していただくことが今回の作業の目玉。
 
キャブレターのプロフェッショナルというイメージが強い永冶氏ですが、
技研時代にはCB750F耐久レーサーのポートチューンを手がけており、
その設計が、後の市販車、CBX750にそのまま採用されたという輝かしい実績があるのです。
ここまで違う形状になるとは思いませんでした。 リュージュのコースみたい(笑) 吹きだまり…?
まだ粗仕上げではありますが、一枚目の左側がNAG加工です。
キャブ仙人殿の『ポート加工講座』(とゆうか戴いた進捗メール)より、貴重なノウハウの一部を抜粋。
 
ヒトが横一列に並んで行進している様子を思い浮かべてください。
隊列を乱さず、キレイに曲るためには、外側のヒトが速く、内側のヒトはゆっくり歩く必要があります。
次に、川の流れを想像してみましょう。流れが蛇行していると外側は深みになり、内側は浅瀬になります。
このことから、ポートも外側(上あご)の流速が速く、流量も多いことが分かります。
 
今度は別の視点で。
冬の雪山で、立ち木の幹や根元を観察すると、雪が吹きだまりになっていたり、渦を巻いたりしています。
ポート内で同じ現象が発生した場合、性能に悪影響が及ぶであろうことは想像に難くないですね。
 
充填効率をUPするためには、
ポートがシリンダーに向かってきれいな円弧を描く形状であること
更に、バルブガイドやポート壁に混合気が当たって、吹きだまりや乱流が起こらないよう工夫し、
より整流効果が高まる形状に仕上げることが大切なのです。
 
二枚目(NAG加工後)と三枚目(STD400)の写真を比較してみましょう。
どちらがスムースに流れるか一目瞭然…、て、STDは暗くて分からないですね。すみません。
NAGさん家のファクトリーにある講義用黒板。 加工前はちょっと大人しめな感じですが…。 洗油が勢い良く広がって行きます。
写真は、ポートを加工をする際には、燃焼室全体に混合気が行き渡るようにしないと、
手前側に混合気が送られず冷却効果が薄れてしまうよ!
…というシミュレーション。
流し込んでいるのは洗油です。
スプレーでやるとより分かりやすいそう。左はNG、右が良好な状態。

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Special THANKS : (株)NAG S.E.D.代表 永冶 司様 & harabow氏 Blog『趣味の徒然』 


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