そらいろつうしん Last Update:2008/06/22


帰ってきた、そらいろ号 <後編>

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初期型SRXは、エキパイにステンレスを採用した初めてのオートバイらしい。
熱を通すと金色から蒼白い輝きに変色していく金属の特性までデザインの演出に利用してしまう
粋な心遣いが、いかにも当時のヤマハとゆう感じ。
実際は、油分が付くとそこだけ黒くなったりして、キレイに焼くのはすごく難しいんだけどさ。

ステンレスの語源はStain-less(錆びない)だ。
でも、錆びづらいだけで、けして錆びないわけじゃない。
車齢20歳を超えるそらいろ号のエキパイは、管理の悪さもあって結構がびがび。
しようがないのでペーパーで磨き始めるも、
硬い金属だから一筋縄ではいかない。

作業に飽きて、ふと、「燃焼室があれだけカーボンまみれだったのだから」と、
エキパイに真鍮ブラシを突っ込んでみたら…、

僕は煙突掃除屋さん。
大変なことになっちまった orz
僕は煙突掃除屋さん。 特に意味はないが、集めてみた。 何から何まで至れり尽くせり。
エキパイからこじり出したカーボンの山。特に理由もなく集めてみた。
ヤクルトジョアの容器を満タンにするくらいの量はある。
奥のほうはブラシが届かないため落とすことができなくて、ちょっと心残り。
 
キャブ仙人こと永冶氏にエキパイ磨きに苦戦していることをメールで伝えると、
完成したヘッドと共に、業務用のステンレスクリーナーを送ってくれた。
これで錆びも汚れもばりばり落していくぜ!劇薬だから、ゴム手袋必須。
この画像を見た某つねお氏は、
「ぎゃははは」と爆笑。 最も高熱になる排気ポート周辺のダメーヂが大きい。 新品よりも美しい仕上がり。
その成果!  or------zzzz
 
単管になってしまった。錆が酷過ぎたのだ。
ここまで表面が荒れていると、手作業で磨き上げるのはほぼ不可能。
いや、不可能じゃないけれど、時間がいくらあっても足りないよ。
 
結局、自分で磨くのは諦めて、バイクレストア界では有名な根岸研磨さんにTEL。
約一週間で新品以上の輝きを取り戻して帰ってきたマイエキパイ。これで加工代1万円以下なんだから、
手磨きにかかる膨大な時間を買うと思えば安い!
ぼろくても、こいつに命を預けるのだから、
ちゃんと整備するぜ。 フィッティングも(予算の都合で)一部だけ新調。 マスタ径は3/8inch。
ダブルディスクの初期型ならOKだけど、
シングルディスクの後期型に使うと
カックンブレーキになっちゃうよ。
二年間の放置プレイの結果、固着して、動きがすっかり渋くなったブレーキとマスタシリンダをO/H。
必要な部品の点数を間違えて、不足分を追加注文するためのメモが添えてあります(笑)
 
最後にフルードを入れてエア抜き。そらいろ号のマスタは、何故かカワサキゼファー400用。
ヤマハ純正と違って、レバー位置を4段階に調整出来るのがポイントだ。
でも、最近はOEMのセミラジアルが安価に入手できるから、そちらの方がいい。
SRX仲間の間では、R6用が定番です。
(シリンダ口径の違いから、使えるのはシングルディスクの二型以降に限られるけれどね)
マフラーカバーはアルミじゃなくて鉄だったのね。 シリコンオフで油分を落して、スプレーしていく。 一時的に新品並みの輝きに。
マフラーの傷みもずいぶん進んでいた。ま、これは冬眠前からだけど。
真鍮ブラシとペーパーで半日磨くも、やはり手作業に限界を感じ、
アマチュアユーザーにもブラストマシンを貸してくれる不二製作所に持ち込む。
予約が詰まっていて、レンタルできた時間は、僅か30分。どたばたしていたので写真は撮れなかったが、
びっくりするくらい簡単に塗装を剥がすことができた。サンドブラストスゲーヨ。
 
その後、その辺にあったつや消し黒の缶スプレーでぷしーぷしぷし。
あ、耐熱塗料じゃなかった…。まあいいや。
ヘッドを開ける前の出来事。 マニュアルとにらめっこしながら。 昔、セールで見つけたときに買っておいて良かった。
4万km以上を走っているクラッチ盤とスプリングも交換。
ハウジング(高価!)はそれほど傷んでいなかったので、軽く段つきを落としてそのまま組む。
クラッチが軽いのは初期型の美点なんだけど、
新品スプリングを奢ったことでレバーの引きが重くなってしまい、ちょっと残念。
 
…で、何故リコイルが用意されているんだ?
垂直にヘリサートが入るように、細心の注意を払いながら。 失敗の履歴。 ひさびさに、ぎゅっと規定トルクで締めてみました。
SRXのオイルフィルターキャップ上部にあるブリーザーは、ねじ穴を舐め易い場所。
10年近く前、僕がこのバイクを手に入れた時から既に、ちょっとやヴぁい感じはあった。
いつも細心の注意を払って締めていたが、今回、ねじを締めていく過程で、
あまりにもナチュラルに手ごたえがなくなり、とうとう舐めちゃった。
 
ヘリサートの挿入は初めての作業。某氏から「練習してからのほうが良い」とアドバイスを頂いていたので、
その辺にあったアルミ剤で何度か失敗して(笑)、無事、ねじ穴復活。
やっとぜんぶ揃った。 技術力こそ日本の誇り。 準備万端!と、思っていたら…。
Wisecoのリングはアメリカから船便で送られてくるので、代理店に在庫がないと1ヶ月以上待たされる。
でもさ、Made in Japanて書いてあるジャン。わざわざ二回も海を渡ってきたのか君。
 
実はこのリング、国内外の多くの二輪車に純正採用されている日本ピストンリング製なのだ。
リングの上面を示す“N”の刻印がニッピの証。
中越地震のときに一躍社名が全国区になったリケンは、刻印が“R”。ちなみに、ピンは台湾製です。

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Special THANKS : (株)NAG S.E.D.代表 永冶 司様    


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