カタナ月記

前後ホイールとスイングアームピボットのベアリング交換

Last Update: 2011/12/23   First Update: 2004/07/06

【おわび】
イエグチさんより、リヤホイールベアリングの品番に誤りがあるとのご指摘をいただき、これを修正しました。
こちらの記事を参照の上、ベアリングを発注して交換作業時に気づかれたそうで…、まったく以って申し訳ないです。
深く々々お詫び申し上げます。

(誤)6304VV → (正)6204VV

それにしても、7年も間違ったまま公開していたのか…orz
何年も前からやりたかったのに、なかなかできなかった足回りのベアリング交換。
やれば良くなるのは分かっていたんだけど、なかなか…。

今年こそはと決心して、3月末までに(←遅い)パーツを揃えていたものの、
その時点で「もういつでもできるもんね」とほっとしてしまい、気がつけばもう7月ではないか。
このまま僕に任せていては埒が開かないので、とうとうHu-techに刀を預けてきてしまった。

僕:『HPのねたにしたいので、写真とって送ってくれます?』
仁衡:『あーいーですよ。』


能天気に頼んだのはいいけれど、
最近のデジカメ画像はファイルサイズが大きすぎて、すぐにMail Delivery Errorになってしまう。
仁衡氏は二枚ずつ何度にも分けて送ってくれました。
忙しいのにつまんない手間を取らせて申し訳ない。

そんな訳で、今回のPhotoはHu-techの仁衡(にひら)氏の撮影です。
全体像ではないので、少し分かりづらいですが。

 年季の入ったベアリングプーラーで、フロントホイールの旧いベアリングを抜き取ったところ。(らしい)

 下の部品に楔形のシャフトをねじ込んでいくと、プーラーが広がって、ベアリングの内輪に引っ掛かる。(らしい)

 あとはハンマーでこんこんと押し出す。(のかな)

 …見てないのでよくわかんないです。

何処に行っても、NSKかNTNしか置いてません。
日本のベアリング界はこの二社にほぼ寡占されているみたい。

 通常、ホイールベアリングに使用されるのは左のシールド型(ZZ)だけど、

 今回僕が用意したのは、非接触ゴムシールド型(VV)です。

 VV型は通常のシールドよりグリス密封性と防塵性に優れ、摩擦トルクや高速性はZZ型と同等。

 右の大きいのはハブベアリング。組み付け後は密封されるので開放型で問題なし。

リアブレーキディスクの段付き磨耗は、
この際、突っ込まんといてください。

 新しいベアリングを打ち込む時は、でかいソケットを使用する。

 普通のソケットを使用するとメッキが剥がれる恐れがあるから、ここは金属肌剥き出しのインパクト用でないとね。

ISAのスプロケットは15,000km以上使って、
流石に少し減り始めているんだけど、まだ大丈夫かな。

 ハブベアリングの新旧比較。グリスがいい感じに焼けてます。

 僕の刀号は6年前に購入した中古車で走行距離は全く当てにならないけれど、

 それでも現在オドメーターの示す5万kmの中では一度も交換されていなかったんじゃないかと思う。

関係ないけど、
刀のホイールはヘンな形なので、掃除が大変。

 新品ベアリングを入れて、フレッシュなグリスをたっぷり詰めて、

 新品のオイルシールで蓋をして、リアホイール作業完了。

放置車両って訳でもなかろーに。

 スイングアームピボットが大変なことになっていました。あははは。

 これだけ朽ちていると、却って嬉しくなってしまうよ。

 刀のピボットには雨で水が浸入し易いので、放っておくとこーいうことになる。

 ちょっと前のBikers Stationの誌面にこれに似た写真があったな…。

ベアリングの内側にカラーがあって、
シャフトは更にその内側を通る。
だからさっきみたいな状態でも一応動く。

 反対側はかろうじて少量のグリスが残っていた。

 しかし、カラーに打痕はできてるし、もはや使いものにならないレベル。

 いや今まで使ってたんだけどさ。

力づくで抜くと、ハウジングを痛めるよ。

 旧いピボットベアリングを外すのはいかにも大変そうだけど、

 アルミのスイングアームなら、バーナーで熱すれば(あんな状態でも)簡単にとれるとのこと。

 鉄よりアルミの方が膨張率が大きいからです。

 暖めた後にスイングアームを枕木にこんこんと当てると、「ぬっ、ぬっ」って感じで出てくるんだって。

しかし汚いスイングアームだなあ。

 ベアリングインストーラーで新品ベアリングを圧入する。

 スイングアームが温まった状態のままなら、手ですこんと入るらしいです。

 でも、プロは万全を期してちゃんとした工具を使うのだ。

このベアリングが一番高かった。一個800円。

 無事、新品ベアリングが入りました。うーんイイ感じだ。

 交換後の走りを知ってしまってからでは、この輝きが神々しくすらある。

ナットを左側にしてシャフトを組み付けるのが、
刀いじりの定番。気休め程度にだけど、
水が浸入しづらくなるんだって。

 トルクレンチを使って、規定トルクでしっかりピボットを締めます。

 Hu-techの工具は殆んどがSnap-on。

 ホイールを組んでチェーン引きの調整をすれば完成。お疲れ様でした。


たまげたなあもう。

…というのが、乗ってみての正直な感想。
刀ってこんなに軽いバイクだったのか。

とにかく、交差点の一つ目の曲がり角で明らかに挙動が違うのが分かる。
今まで遅れて回り込んでいた前輪が「すいっ」と、入る。それだけじゃなくて、ちゃんと曲がりたい方向に進む!
直進だって違う。タイアの転がり感がイイと言うか、とにかく軽やか。
だけど車重が変わった訳じゃない。これが本来の刀の動きなんだ。

高速道路の継ぎ目に乗った時、「げすっ、げすっ」ってお尻から伝わってきていた衝撃も緩和され、
ゴム長靴からエアマックスに履き替えたみたいに快適になった。
これは嬉しい。僕みたいに乗りっぱなしの人には超お奨め。

下記が今回交換したベアリングのサイズと価格です。
  型番価格個数
フロント6302VV4302
リア6204VV4802
リア(ハブ)6305OP7001
ピボットFJL25308002

(※1) OEMと比べて高いか安いかは知りませんが、こんなもんでしょ。
(※2) カラーやオイルシールはOEMを使用。もちろん新品ですよ。

ベアリングには加工精度による等級があり、普通に頼むと0級が届く。
ホイールベアリングに高い精度が必要とは思えないから、それで充分だと思うよ。(STDは0級だ。)

今はもちょっと高くなってると思う 新品ベアリングの調達には、ちょっとした苦労があった。 パーツリストでサイズを調べ、ネットでベアリング屋さんを捜し、 一個二個の単位でも売ってもらえるかも確認して、 でも週末や休日はやってなくて、途方に暮れていると、 結局、近所の『銅市』というさえない金物屋さんで注文できることが判明。 ○| ̄|_ 情報過多の時代なんだと思う。 僕も調べ物がある時は先ずインターネットから始めてしまう。 ただネットの世界では信憑性の高いものから低いものまで情報があまりに溢れ過ぎていて、 取捨選択する感性を磨いておかないと、翻弄されるばかり。 いや、そもそも素直に純正を頼めば良かったんだけど。 ベアリング屋さんというコアでエンスーな世界(?)を覗いてみたかったんだよ。

Special THANKS hu-tech     

カタナ月記のTOPへ

home