カタナ月記

クラッチディスクのロックナットを増し締めする

Last Update: 2003/07/19

クラッチディスクロックナットの緩みは、刀のウィークポイントの一つ。

昔、Bikers Starion誌で連載していた「快調刀の造り方」で紹介されていたので、
知っている人も多いんじゃないかな。
気がついた頃にチェックしてみると、大抵ゆるゆるになっているんだ。
(でも、別に緩んでいても結構普通に走っちゃうんだよね。)

ここをちゃんと締めると、気のせいかシフトが幾分しゃきっとした感じになる。
やっておけば精神的にも安心できるし、特殊工具さえあれば難しくない作業なので、
毎年、シーズンイン毎にオイル交換のついでくらいの気持ちでやるといいと思う。15分ぐらいで終るよ。
まあ、たかがナットな訳だし。緩む時は緩むわな。

お馴染みhu-techで場所と工具をお借りして作業しました。

エグゾーストにダンボールを挟んでオイル汚れを防ぐ。

 リリースアームとクラッチカバーを外すとこんな風景が。

 サイドスタンドをかけていれば、オイルは殆んど漏れない。

 6本の10mmボルトを緩めると、ディスクプレッシャープレートを外すことができる。

 真ん中からひょいと突き出ているシャフトを留めるロックワッシャはそのままでOK。

スレッドコンパウンドを塗ったボルトを緩める時の「するるん」という感触は気持ちいいよ。

 外したボルトは、長さがてんでばらばらなので、組み付ける時に迷わないように順番に並べておく。

 ねじ山の黒い部分は腐食じゃなくて、かじり防止のために塗っているワコーズのスレッドコンパウンド。

 ステンボルトは耐食性に有利な反面、アルミとの相性が鉄ほど良くないので。

熱的に厳しいヘッドカバー意外は、大体、二三回は利用します僕は。

 クラッチディスクは作業中落とさない様に、5〜6枚外しておく。全部外さなくても大丈夫。(ピンぼけでごめん。)

 クラッチカバーのガスケットは新品に越したことはないけれど、破けてなければ割と再利用できる。

 破けても、液体ガスケットを塗っとけば大抵問題なし。僕には最強のシリコンガスケット、信越KE45がついている。

 でも何と言うか、滅多に漏りゃしないんだこんなとこ。

通常1万km走れば緩むと書いてあった所を、2万km以上放っていたんだから、緩んでてもしようがないか。

 中心のでかいのが問題のナット。やはりゆるゆる。

 二年ぐらい前に締め直した時、

 『ナットの面取りのしてある側を敢えて下にすることにより、座面の密着度を稼いで緩みを防ぐ。』という、

 雑誌で紹介されていた姑息な(?)手を使ってたんだけど…、効果はあまりなかったみたい。

かと言って、トルクオーバーで締めると、クラッチのフィーリングが悪くなるケースがあるので難しい。

 クラッチハブホルダで回り止めをして、締め直し。マニュアルに拠れば、規定トルクは6.0kg/m。

 「そりゃ緩むよ。」と仁衡さん。カワサキ車なんかは10.0kg/mぐらいで締めるらしい。

 聞くと、この時代のスズキ車全般のウィークポイントとのこと。

部品がなくて待っている間、不良状態のまま乗り続けるよりは、できることをしておいたほうがいいと思う。

 最後にウォーターポンププライヤーで、緩み止めワッシャを起こす。

 本当はナットとワッシャを新品にするべきなんだけど、今回は部品の調達が間に合わなかったので再利用。

 まあ一夏ぐらいは持つでしょ。どうせすぐ緩むんだから、そんな神経質になってもね。

 カバーを閉じた後、クラッチの遊びがぜんぜん変わってることがあるので注意しましょう。

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ところで、上の作業から遅れること一週間。新品のナットとワッシャが届いた。


二セットも。


「結局同じパーツで新品にしても駄目なんだから、対策部品か、他車種から流用できるナットってないですかね?」

と言ったら、飛馬さんが試しにGSF1200のをとってくれていたのだ。
↓左の黒い奴がそれで、右は刀用。

二面巾が違うけれど、内径は一緒。
≪ パーツ番号 ≫GSF1200用 ※二面巾30mm。
   ・ナット  09159-24010  490円
   ・ワッシャ 09167-25007  120円

■GSX1100S刀用 ※二面巾32mm
   ・ナット  09167-24007  130円
   ・ワッシャ 09167-25007  120円 ←これは同じざます。
<訂正>(2004/02/14)
上のナットをGSF1200用と書いていましたけれど、嘘でした。
GSF1200用は、09167-02408。
09159-24010 は、水冷のGSX-R750等に用いられている様です。    

GSFのには、ナットのねじ谷部からぐっと盛り上がったところがある。
本締めした後、ここを貫通ドライバーなどで叩いてシャフトの切り欠き部に打ち込み、
緩み止めにしろということらしい。


これはひょっとして…、使えるのでは!? 


   仁衡:「でも、一回きりの使い捨てですねえ。」

   僕:「普通は滅多にばらすようなところでもないし、緩まなきゃ使い捨てでいいんじゃないですか?」


とゆう訳で、次回はこいつを使ってみたいと思う。
今日は面倒臭いのでここまで。


Special THANKS Hu-tech     

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