刀の燃料コックは、レース用キャブに換えて全開走行を続けると、 流量が不足してガス欠症状を起こすことがある。 具体的な例を上げると、全開加速5〜8秒ほどでエンジンがごぼつき始める。 こうなるとスロットルを戻してペースを落とすか、一旦、停まって休憩するしかない。 もちろん公道でそんな走りがそうそうできる筈もなく、 僕は、2年ほど前、友人の誘いで走った富士スピードウェイでこれを体験した。 厄介なのは、一度この症状が起きると、キャブの油面が落ちつくまで暫くまともに走れなくなることだ。 コックをPRIに切り換えても、すぐには快復してくれないんだよね。 実を言うと、似たようなことは以前にもあって、原因にも薄々気付いてはいたんだけれど、 そこまで頑張って走ることは滅多にないから、さほど気にかけていなかったわけ。
・この後、立ち上がりで失速してコースアウト。140kmくらい出てたから、かなりやヴぁかった。
その走行会には、たまたままめしばさんが遊びに来ていたので、ちょっと相談して(ボヤいて)みた。 「あー、私も竜洋(※:スズキのテストコース)で経験したことあります」 「ピンゲル(※:米国製のハイフローコック)とかにしないと直りませんかねえ」 「ふつうに走るぶんには問題ないんだから、ン万円もお金をかけて対策するのはもったいないですよ。 GPZ900用のコックを流用するひとがよくいるみたいですが、(流量は)刀のコックとあまり変わらないと思いますね。 それより、負圧式コックはダイアフラムの作動範囲が狭いことがボトルネックになっているから、 手動式に改造しちゃえばいいんです」 「PRIにすれば(手動式のONと)同じことなんじゃないですか?」 「それがねえ。ON/RESよりPRIのほうが穴が小さいんですよ」 「まjっすか。でも、燃料コックを改造なんて…」 「バラしてみればわかりますが、そんなに複雑な構造じゃありません。 冬休みの宿題みたいな感じでちゃちゃちゃっと♪」 …てなわけで、2年ごしの宿題をやるです(笑) --- 純正キャブで流量不足が発生することは先ずないと思います。 レース用キャブでも、実際にガス欠症状を経験したことがないひとは、気にしなくていいと思う。 だって、不具合がないなら改造する必要ないじゃん。 手動コックは、OFFに戻すのを忘れてバイクを放置すると、 キャブがオーバーフローしてエンジンにガソリンが混入する危険があるからね。
改造後の燃料コックは、“PRI”の位置が“OFF”となり、 “ON/RES”は通路全開!になります。もちろん、リザーブもちゃんと機能しますよ。 実走テストはまだそんなにできてないんだけれど、意外な効果として、始動性の向上が上げられます。 これは想像だけど、バイクを停めている間にもキャブの中のガソリンは徐々に気化して油面が下がっていくから、 特に長期間放置した場合なんかは、すぐにガソリンが落ちる手動コックの方が、 負圧コックより始動性に優れるんじゃないかな。 全開ガス欠病が治っているかテストしないとね。 さあて、どこでやるかな…。
【後日談】 手動式燃料コックへの改造後、燃料不足が原因と思しきガス欠症状は一度も発生していません。 僕がときどきサーキット走行を愉しんでいる袖ヶ浦フォレストレースウェイには、 そのくらい開け々々で走っても、とりあえずガス欠症状は出なかったです。 --- ひとつ問題点らしきものがあるとすれば、 負圧コックが負圧で燃料を“吸い出す”のに対し、 とゆうわけで、この現象について真相の程は不明ですw (2013/04/24 追記) |