カタナ月記
Last Update: 2018/02/05   First Update: 2018/01/08

第三者の刀号インプレと空気を読むバイクについての考察

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夕方になると、箱根の山が一気に霧深くなりました。

十数m先の視界も覚束ず、周りのクルマもめいっぱい低速走行…。
追い抜きもリスキーで、このコンディションで箱根新道の渋滞抜けるのかなり辛そう。
ここは大人の経済力を生かしてリッチにターンパイクで下山します。

西湘PAでSRXなひとたちと別れて、Mk.IIのブッチーさんと空冷二台でR134の大渋滞を延々と擦り抜ける。
箱根へツーリングに行くと、いつも気が重いのが帰りのこの時間帯…。

へとへとに疲れて、藤沢付近のコンビニでトイレ&珈琲ブレイク。


・このツーショット好き。



僕:「いやあ。痺れる渋滞でしたねw」

ブ:「ちょっと降ってきたんじゃね?」

僕:「降ってますね。雨雲レーダーはクリアだから、本降りにはならないと思います。天気雨でしょう」


直後、刀号に異変が起きる。


ばぼぅ。ばばばっ。ぼっぼぼ。ばらぼぼぼ。


アクセルにエンジンが付いて来ない。ギクシャクしてまともに走れない。
たまらず数km先の別のコンビニで再度バイクを停める。


ブ:「おかしいね。今までふつうに走っていたんでしょ?」

僕:「またスタータープランジャからのリークかなあ。
   でも、スターターのリークでこんなフィーリングになったことはないんですよ」


軽くアクセルを煽ると、マフラーからときどき白い煙。そしてアフターファイア。
濃過ぎる。ちゃんと燃えてない。でも、これはリークじゃない。
こんなときに限って、キャブのセッティングツールを忘れてきている僕。
さしあたりPSを1/4回転締め込んで再出発。


ばぼぅ。ばばばっ。ばららら、ずぼーーーー。


さっきよりはいい。

回転し気味に走れば幾らかまともだ。
渋滞が解消し始めてクルマの間隔が開いてきたので、アクセルを大きめに開けていく。
いつもは僕より擦り抜けが鋭いブッチーさんがどん引くくらいのペースでクルマの間を縫っていく…。
ここでブッチーさんとの距離が少し開いてしまった。

横浜新道戸塚料金所の手前にある小さなPAに入る。

ちょっとよくなったけど、ちゃんとよくなったわけではない。
暗くて見通しが悪くなった首都高速の狭い路肩にバイクを停めるなどという危険極まりない状況は避けたい。
この先は暫くバイクを停められる場所がないから、何がしかの対策を取るなら、ここしかない。
メットを脱ぎ、シートに括ったコロナのバッグから車載工具を取り出す。


ややあって、PAの前をゆっくりとMk.IIが通過していき、料金所の先で停まったのを確認。


正直、少しホッとした。
これで、じぶんのくだらないトラブルにブッチーさんをつきあせずに済む。
ケータイでブッチーさんと連絡を取り、ここで今一度バイクのチェックをつもりであることと、
このまま先に帰って欲しい旨を告げる。



・実際は画像よりずっと暗かったんです。


ケータイのライトを頼りにキャブとガソリンタンクをはぐる。
インテークポートには赤いガソリン痕がべったり残っていた。オーバーフローかもしれない。
軽くキャブを叩いてガソリンを抜き、フロート室を外す。

暗くてはっきりとは見えないが、抜いたガソリンにもフロート室の中にも、
錆びの固まりやごみらしきものは確認できない。



・きっと燃焼室も真っ黒々助なんだろうなー。


プラグは4本とも真っ黒。

シリンダーヘッドにプラグの電極を近づけセルを回してみる。
火はばしばし飛んでる。点火系の不具合ではない。


やはり濃いだけなんだ…。


長時間トロトロ走行を続けてカブり気味だったことに加え、
通り雨の湿気でスポンジ式のエアフィルターが詰まり、燃調が通常走行可能な領域を外れてしまったのだろう。
最後に給油したとき、気まぐれでハイオク入れたのもまずかった。
ハイオクはレギュラーより濃い側にセッティングが振れるのだ。
手っ取り早い確認手段は一時的にエアフィルターを外して走ってみることだけれど、
試走する場所も外したフィルターを運ぶ方法もない…。


思案に暮れていると、見知らぬ若いお兄さんが声をかけてきて、
小型のLED懐中電灯をくれた。


「これ、よかったら使ってください。
 100円ショップで買ったものなので、返さなくていいです。がんばって!」


いやあ。トラブってるときに受ける好意って嬉しいものですね。
ホントにありがとうございました。


さしあたりASを1/8回転開けて、軽く空吹かし。
回転がつっかえる症状はだいぶ緩和されている。このまま走れそうな気がする。
迷っていても仕方がない。行くか。

---

読みは当たっていた。

濃いめの症状は依然として残り続けたものの、
高速に入ってからの刀号は割とふつうに走ってくれて、何ごともなくすんなり帰宅。
自宅近所まで来ると、ついさっきまでダメだった極低速域も問題なし。

それにしても今回のツーリングは疲れた…。


僕:「なんなん?」

飛:「それがCRなんですよw」


後日、二十年来の友人であり、
行きつけのバイク屋『Hu-tech』のボスである飛馬さんにこの話をすると、彼はにっこり笑ってこう答えた。
まめさんに怒られそうな発言だw


・ジェベ朗を手放し、代わりに赤のセロー250が入った僕のガレーヂです。



僕の刀号がオーナー同様、メンタル的に脆弱で折れやすいっていうか、
バイクがオーナーに似るというか…。
周りの雰囲気に呑まれて普段どおりのチカラが出せないとか、
ここぞというところで何とか持ち堪えたと思ったら、プレッシャーから解放された途端に落ち込んでしまったり、
空気読み過ぎというか、人間味あり過ぎというか…、
ミラクルなまでにオーナーとシンクロしてる。

今どきのバイクが失って久しい旧き良き性能のひとつかもしれないね。
やっぱりこいつは僕の相棒なんだ。

(ただの整備不良だろって突っ込んでよいよ!)

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先ずはOil漏れをなんとかしないと、サーキット遊びどころか、ツーリングにも行けない。
もうシーズン終わりなんで、のんびりじっくり対策していきます。

やだなー。エンジン開けたくないなー…。_ノ乙(、ン、)_

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