カタナ月記
Last Update: 2020/08/30

再び蘇る銀狼

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なんとまあ。約2年ぶりの更新となります。

> ひとと同じ結果を得るのに、ひとより余分な手間と無駄な時間と余計なお金を浪費して、
> さんざん遠回りしてしまうのは、(誠に遺憾ながら)僕の性分である。

言霊かよと。(笑)

僕のサーキット初転倒は、なんともタイミングが悪かった。
何も新しいエンジンを造り始めているときにやらかさなくたっていいじゃないか。

自業自得ではあるのだけれど、車体の修理とエンジンのリビルドを同時に行うことになってしまったわけで。
要所々々はプロに任せていると言え、無駄に手間のかかるやり方をしているものだから、作業は遅々として進まない。
仕事やプライベートだって、それなりに忙しい。
一般的なふつうの(というかそれより少し下の)社会人であれば、
純粋な自分時間は週1日取れればよい方でしょ。

僕の場合は刀がなくても、他のバイクでだって遊べるわけで、実際に遊んでもいた。(笑)
とてもじゃないけれど、HP更新まで手が回らなかった。

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幸か不幸か(幸ではない)コロナ渦でおうち時間ができたので、少し振り返ってみますね。
時の流れに記憶が埋没してしまわないうちに。


新エンジンのために用意したSOHCエンジニアリング製ピストン。

ボアはノーマルと同じ72φ。圧縮比は11くらいだったと思う。
ピストンリングは、なんとカワサキw650用の純正部品を使用する。
製造はリケンで設計も新しく、信頼性は折り紙付き。

刀のリプレイスピストンの定番は73φ/1,135ccだけど、
渡辺さんの話では、そこそこ腕に覚えのある猛者でも扱いきれず持て余すケースが多いという。
まあ空冷エンジンと言え1,075ccあるわけだから、
最新技術で設計された軽量ピストンとCR-Specialを組み合わせれば、パワー不足を感じることなどあろうはずもない。
排気量を変えず、ピストンだけで、どこまでノーマルと差をつけることができるか。
それは造り手である渡辺さんのチャレンジでもある。
(「まあ結果はわかっているけどね」と不敵に口角を上げる渡辺さん)

万が一、馬が足りなければ、もう1mmボアアウトすればよいだけの話だ。
それができる甲斐性と腕が僕にあるかどうかは別問題として。


僕の刀は、このピストンを搭載した最初のマシンになる…、予定だった。

しかし、実際にはエンジンが完成するまでに1年、
バイクがまともに走るようになるまでに、更に1年かかってしまったのでした。とほほ。

2018/4/15
SOHCエンジニアリングさんに預けた部品が加工から上がってきた。
素直に組み立てまで任せちゃえばよかったのに、僕の我儘で完全にバラバラの状態。
僕のじゃない部品を幾つか渡されて、後で宅配スワップかけたのは内緒です(笑

シリンダーやクランクケースはウエットブラストをかけてクリアと白錆びを剥離。
20年の半野外保管で生じた腐食の根は深く、加工後も痘痕のような痕が遺ってしまったため、
塗装やクリアを載せることはできない。
従って、アルミの地肌剥き出しの状態で組むことになる。

渡辺さん:「まめにシリコン吹いておけば、そんなに錆びないよ」

もちろんガレーヂ保管前提の話。
梅雨どきとか、ホント気を付けないとすぐ白錆び出ちゃうよね。

ピストン径がノーマルなので、必然的にライナーは打ち換えとなります。
SOHCエンジニアリングご自慢のターカロイ松。
「ターカロイ」とは、シリンダー専用に開発された鋳鉄素材の名称で、松竹梅はグレードを示している。
ググッてみたら、まめしば氏が丁寧に解説してくれていました(笑)

ドナーエンジンのヘッドが予想より傷んでいたのは残念だった。
ロッカーアームやカムシャフトは齧りが酷く完全にアウト。
10万kmエンジンよりはよかろうと走行距離が少ないこのエンジンをベースにしたんだけれど、
まんまと当てが外れた格好です。
排気側のバルブガイドも打ち換えを余儀なくされました。(正直やりたくなかった)

刀のエンジンを造るとき、最もコストがかかるのがヘッド回り。
逆を言えば、ヘッドのコンディションさえよければ大幅に予算を抑えられる。
例えば、ロッカーアーム(12480-49201)は2020年6月時点で6000円。
(アジャストスクリゥとナットはセットになっている。)
吸気バルブ(12911-49220)は3500円。排気バルブ(12912-49220)は5500円。
これが8個ずつ必要で、更に消費税がかかる。
でも、スズキの純正部品価格は他メーカーに比べて抑えられている方だと思う。

サードギアとトップギアには欠けか見られた。
これは設計がイマイチなんですね。最初から噛み合わせが浅いんだもの。
ねじロックスーパーで圧入されており交換が難しい部品の一つですが、
(墨田のバイク屋が)がんがって交換します。

2018/4/30〜5/1
ヘッドやシリンダーやクランクケースたちをケルヒャーで洗浄。
ウエットブラストは水に溶いたメディアを高圧で吹き付けることにより金属の表面を研磨する技術ですが、
加工後はねじ穴やOilの通路にもメディア(研磨剤)入り込んでしまう。
このメディアが実にしつこくて、落とすのが一苦労なんです。

プラスティックトレーに溜まった銀色の粒子が洗い落としたメディア。
この作業は数回に分けて、かなりしつこく行いました。
洗浄後はエアで水分を飛ばし、シリンダーライナーが錆びないようにEng-Oilを塗っておく。

仁衡氏:「(心配だったから)オレも組む前にケルヒャーしたんだけど、まだ結構メディア残ってたよ」

まjッすか。

2018/5/3〜5/4
クラッチカバーやクランクケースカバーのボルト類。
メッキ仕上げはドナーエンジン('90)のもので、黒アルマイト(?)は僕のエンジン('87)についていたもの。
こんな部分も年式で違いがあるんですね。
カバー類の錆びたねじは真鍮ブラシで磨いて再利用。なんでも新品にすりゃいいってものじゃない。

一番右の画像はクランクケースのボルト。
締め付けトルクが大きく、ねじが伸びている可能性があるため可能な限り新品に置換しました。

あまり気にすることはありませんが、ボルト頭の数字の刻印は強度区分を示しています。
11なら110kgf・mまでトルクをかけても破断しないよという意味。

ねじは締め付けられて伸びることで締め付け力を増していきますが、
一定以上のチカラで締め付けると、伸びたまま戻らなくなっちゃう。このポイントを降伏点といいます。
M6以上のボルトなら、降伏点は強度区分の8〜9割てところ。
つまり、11の刻印が入ったボルトにかけられる最大トルクは、約100kgf・m。

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SI単位系が日本国内で規格値とされたのは1990年。
締め付けトルクの単位は、このときkgf・mからN・mに変更されました。
うちの刀の生産時期はその端境期あたりなので、さしあたってkgf・mで記載しました。
N・mはkgf・mの約98%だから、殆ど変わらないわけだけど。

どうでもいいか(笑

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