カタナ月記
Last Update: 2020/12/10   First Update: 2020/08/30

再び蘇る銀狼

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割と有名なネタですが、いちばん左の画像のドライバーの先で差している箇所。
ねじ穴がヘッドカバーを貫通して穴が開いているのがわかるでしょうか。

この穴は刀の持病であるヘッドカバーのOil漏れの原因のひとつで、
要するに雌ねじの溝をつたってOilが上がってしまう。
ボルトにシールワッシャ(09168-06023)を使用することで一応は解決できますが、
S/MにもP/Lにもそんな指定はありません。
造りが雑というか設計の詰めが甘いというか、スズキらしいと言えばスズキらしい。

クラッチハウジングの段付き摩耗も刀の持病です。
距離走ったマシンはだいたいこうなっている。アルミの鋳造だから、仕方ないっちゃ仕方ない。
カワサキZ系エンジンにも同じ問題があって、
後期型はハウジングが鉄製に変更されているそうですが、
重くてパワーを喰われるので、みんな前期型のアルミに交換しちゃうんだって(笑

2018/5/11〜6/2
シリンダーヘッド、クランクケースのすべてのボルト穴をタップで浚っていきます。
ウエットブラストをかけたので穴の奥までメディアが入り込んでいるし、
ねじを外すときに軽く齧ったところもある。

昔、近所の金物屋が潰れたときに、8割引きでまとめ買いしたタップが大活躍(笑
こまめに潤滑剤を吹き、タップが斜めに入らないよう、慎重に慎重に…。

サイズはM6とM8(細目)がほとんどですが、一部にM5。それと、クランクケースにM9が2箇所。
そんなレアサイズのタップ持ってないよーてことで、仁衡氏にレンタルしました。
赤のマーカーは「ここもう済んでるよ」のしるし。

約2ヵ月(間の週末とGW)をかけて下準備したパーツたちを墨田のバイク屋Hu-tech。に託します。
後は気長に、急かすことなく、じっと待ち続けるのみ。

じぶんでバラして組み立てるならともかく、
バラバラの状態で部品を受け取ってエンジンを組むのって、想像を絶するたいへんさです。
新品部品は部品番号でP/Lと照合して、ひとつひとつパッケージを開梱して、
何処に何が付いて、どの順番で組み立てていくのかをS/Mで再確認して、
ピストンとシリンダーのクリアランスやクランクの振れの再計測だってもちろん必要です。

仁衡氏:「(こんな仕事)葱やんじゃなきゃ受けないよ」

ほんとうによく引き受けてくれたと思います。感謝してもしきれません。

2018/6/16

Hu-techには年代物のフレーム計測機があります。
100km以上のスピードで転んでいるわけだから、
フレームにダメージが及んでいるかどうかは、ある意味、最大の心配ごとでした。
フロント廻りをバラしてスイングアームピボットを基準に車体を固定し、
冶具とレーザーを併用して首の曲がりをチェックしていく。
ステムの延長線上で車体の中心から1〜2mm程度の曲がりあり…、というのが最初の診断(泣)。
しかし、飛馬さんは難しそうな顔をしている。

よくよくチェックすると、どうやらフレームの首は曲がっておらず、
垂直を保ったまま、車体中心から1mm程度オフセットしているらしい。

これを修正するには、軸穴に丸棒を通してオフセットしている側から一度反対側に大きく振った後、
もう一度振り戻して、ちょうどいいポイントに調整する必要がある。
大きな負荷が二度かかるため、軸穴に広がってガタガタになってしまう可能性がある。
要するに単純な曲がりより直すのが難しい。

状態的に転倒が原因とは考えづらく、元からこうだったのではないかというのが飛馬さんの見立て。
ステム軸の延長線上の設地点で1mmというのは組み付け次第でかんたんに生じてしまう差で、
新車でもこの程度のズレはふつうにある。

前後輪の接地点が車体の中心から3mmズレていると、
どんなに鈍感なライダーでも「何かおかしい」ことを察知できるそうだ。(…と昔、どっかで聞いた)
逆を言えば、3mm未満のズレは公差の範囲内、と言える。
ここはフレームに手を付けず、様子をみようという話になりました。

2018/6/23
そんな感じで、なんとか走れる状態に戻ったのが6月末。
マフラーの擦痕が痛々しい。でも、同じサイレンサーもう手に入らないんだよな。

フロントを組みなおしたので、ハンドルロックがちゃんとかかるか確認します。
刀のハンドルロックはとても使いづらいので、僕がオーナーになってから何度も使用していない。
習○野陸運は車検でハンドルロックをチェックすることなんて滅多にないしね(笑

鉄製のインナーフェンダーは飛馬さんが苦労して修正してくれたが、
造形が複雑なため完全に修正するのはほぼ無理。交換を勧められる。
(それでも一度は修正を試みてくれる心意気が嬉しい)
フェンダーを固定するボルトが、転倒の衝撃で曲がっていたよ…。

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