カタナ月記
Last Update: 2017/03/15   First Update: 2017/03/13

CRキャブの悩ましいスタータープランジャのお話

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話は昨年の7月ごろにまで遡ります。
(二回連続で似たような書き出しだ笑)

まめしば氏にMailして、土曜日にファクトリーに伺ってもよいかとお伺いを立てますと、
一日作業の予約が入っている日だけど、何とか時間を作って対応してくれるとのお返事をいただけました。


目的は、CR-Mキャブレター導入当初から悩まされていたスタータープランジャのリーク対策。


僕自身はCR初心者ですが、周りには旧車空冷4気筒のCR使いがそれなりにいて、
十数年来のヘビー・ユーザーによるリアルな情報も、自ずと入ってくる。
だから、スタータープランジャのリークがめずらしいトラブルでないことは、一応、認識はしていました。
気持ちよくツーリングしていて、ついさっきまで絶好調だったのに、
一休みして走り出そうとしたらガボガボガボ…。


それがCRとゆうキャブなのですw
さすがに新品で購入して、ましてやCR-Mキャブレターでトラブるとは思っていなかったけれどw


僕の場合は、装着して最初の瞬間からガボガボガボ…でした。


真っ先に疑ったのは、じぶんの組み付けミス。
次に、プリセッティングがズレてるんじゃないかてこと。

スロー系を薄めに振ると良くなったから、濃いのは間違いない。
しかし、加速が明らかに弱く、満足いくフィーリングには遠く及ばない。
試着試乗で本来のCR-Mキャブレターのパフォーマンスを経験していたから、何かがおかしいのはすぐにわかった。
でも、何がおかしいのかがわからない。

今にして思えば、このとき僕は初動を完全に誤っていた。
おかしいと感じた時点で、まめさんにTELするべきだったんだよね。

売りっ放しの吊るしのレーシングキャブじゃなくて、まめさんのCR-Mキャブレターなのだから。

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どうやらスターターがリークしているらしいということに気付いたのは、
およそ一ヶ月以上経ったころでした。(←鈍い)

原因の特定に時間がかかったのは、静的な状態でリークテストをしても問題がなかったから。
(そんなんでわかるのなら、僕より先にまめさんが気付いている)

おまけに弄くりまわしているうちに、
一時的に調子良くなっちゃったりするもんだから始末が悪い。


カブるのは決まって3番。

点火系に問題があるのかと、
2番と3番のプラグキャップと入れ替えてみるが症状は変わらない。

エンジンを始動して、ある程度時間が経つと突然リークが始まる。
キャブを掃除したり、プランジャの同調をやり直たりして、
少し調子良くなったなと思ったら、一週間置いて再始動した瞬間に、またリークしてる。
多くのCRユーザーがそうしているように、
スターターレバーを外したりもしてみたけれど、それでもリークする。

いったい何本プラグをだめにしたのやら…。

そして、カブり始めたらタンクの下に手を突っ込み、
プランジャーを指でぱちんぱちんと弾くと、一時的に症状が改善するという裏技を発見w
もちろん一時凌ぎに過ぎないのですが。

いつカブり出すかと、びくびくしながら走るのは、あまり気持ちの良いものではありません。



スタータージェットを穴なし(0番)に交換したうえで、
太さ4mmの耐油性のO-Ringをスターター経路に差し込み、ガスの流れを遮断するなんて試みもしてみました。
これ、まめさんが昔Blogで紹介していたスターター殺しの方法です。
ガソリンで膨潤して経路を塞いでくれるはずなのだけれど…、やっぱりダメ。

スターター経路の上部にフロート室と繋がっている油面調整用の通路があって、
そこからガスを吸っちゃうらしい。

まめさんに問い合わせてみると、昔の記事だから直していないけれど、そのとおりなんだってw

症状からすると、やはりスタータープランジャがいちばん怪しいので、
カブりの症状が出たらすぐさまキャブを外し、リークしていないかチェックして欲しいとアドバイスを受ける。
トラブルの原因は発生した時点ですぐ確認しないと因果関係を証明できない。
しかし、先にも述べたとおり、何故か静的な状態ではリークしないんです。

かくなる上は、エポキシパテでスターターの通路を塞いでしまうか…。
できればそれは避けたかった。

アイドルポートを持たない通常のCRはスロー系を濃い目に振る必要があり、
始動時にスターターを必要とすることはほとんどない。
でも、CR-Mキャブレターにはアイドルポートとパイロットスクリューが追加されており、
STDのCRより、かなりスロー系を絞ることができる。
結果として、スターターなしだと冬場は始動に難儀することがあるようなんです。

CRのスタータートラブルについて重々承知している筈のまめさんが、
CR-Mキャブレターにスターターを残しているからには、それなりの理由があるというわけ。

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そんな実に悩ましいスタータープランジャのリーク対策ですが、これだけです。



画像はスタータープランジャの先端部。
真鍮の外周部が出っ張り過ぎていて、ゴムのストッパーが機能しないことがあるらしい。
ほんのゼロコンマ何mm程度の出っ張りですが、外周部が先に底付きしてしまうと、
ゴムが浮き上がる形となり、正常にガソリンを止めることができなくなる。
そこで外周部を少しばかり削ったんですね。

これをやってもらうためだけに、
わざわざ東名に乗って、片道100km以上も走って、“ファクトリーまめしば”まで行って来たの?
はい。そのとおりですw

CR-Mキャブレターはまめさんのキャブだからね。まめさんにやって欲しかったんだよ。

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累計で500機以上がデリバリーされているCR-Mキャブレター。
今回と同じ(新品ベースの)スタータープランジャのリークは、過去に2例ほどあったそうです。
仮に気筒あたりの個数に換算すると、500×4=2000個。障害発生率は0.15%。
全部が4気筒用ではないだろうし、報告されていないトラブルもあるかもしれない。
中には中古ベースで加工したものもあると思うけれど、それでも障害発生率はせいぜい1%以下だと思う。

まめさんは組むときに必ずチェックしているそうだから、
STDのCRはともかく、CR-Mキャブレターでは滅多にないトラブルです。
ただ、CRをベースにしている以上、例え新品であったとしても、
こーいうトラブルが稀にあるて情報を、CR-Mキャブレターのユーザー(あるいは予備軍)のひとたちは、
記憶の隅に置いといて良いと思う。

そんな想いで、今回の記事をUPしました。

それにしても、使い倒したFCRの低速域のフィーリング悪化ががまんできなくなってCR-Mキャブレターに交換したのに、
発生率0.15%の初期不良品を掴んで、しっかりCRの洗礼を受けてしまうのが如何にも僕らしいというかw

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