カタナ月記
Last Update: 2013/05/15

フライホイールを軽量化してみた


・じまんのカットカバー。なかなかお気に入りのパーツなのです。


サーキット遊びで刀のバンク角不足が問題になって、クランクケースカバーを加工したのだけれど、
写真で見てもわかるとおり、それによって稼ぐことができたバンク角はほんの僅かだったりする。

加工後は先にサイドスタンドが接地するようになったから、
サイドスタンドが当たったら、そこでバイクを寝かすのを止めればいい…のだ……が………。
そんなこと言ってる矢先に、あっさり擦ってしまったorz


・ヘアピンで縁石に当てちゃった。てへぺろ。


フライホイールを削ってしまえば、もっとバンク角を稼げるのではないか。
…と言うわけで、「好きにしていいよん♪」とスペアのフライホイールをバイク屋に預けてみた。


結論から先に書く。


削っても、ケースカバーをカットできる量は殆ど変わらなかったです。


・左:純正のフライホイール 右:加工後


・いちおう、ギリッギリまで追い込んでいる。


加工屋さん曰く、磁石は削ってる途中に割れそうな気がするんだって。
旋盤の刃にも良くなさそうだよねえ…。

ここまで削っても十数ミリしか追い込めない。
バンク角は1〜2度増してところかな。
・カワサキZ1用のカットカバーとステーターコイル(Worked by Hu-tech


カワサキの空冷Z系エンジンは、フライホイールがステーターコイルの内側にあるインナーローター式。
インナーローター式は、本来、ピックアップや高回転域でのパフォーマンスを重視したレース用エンジンに採用されることが多い。
この方式だと、(発電量は落ちるものの)ステーターコイルを削ることでケースカバーのカット量を増やして、
バンク角を追い込むことができる。

対して、スズキGS/GSX系エンジンはアウターローター式で、
フライホイールはステーターコイルの外側だ。
安定した発電量と低中速域の扱いやすさを確保できるため、市販車の殆どはアウターローター式である。
しかし、前述したとおり、純正のフライホイールは削るとすぐに磁石が出てきてしまうため、
外周はせいぜい1〜2mm程度しか削れない。

僅か1〜2mmのために、今付いているカットカバーを(更にお金をかけて)再加工するメリットはなさそうだ。

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でも、加工屋さんはせっかくだからと、

贅肉を削って、めいっぱいフライホイールを軽量化してくれたw


・どーん。


・もはや同じ部品に見えないw


・側面の穴は、バランス取りのために開けられています。

 
ノーマル重量:1,465g、加工後重量:1,192g
実に273gの軽量化!


フライホイールの軽量化は、よく聞くチューニングメニューのひとつ。
クランク軸にかかる負荷が減ってレスポンスアップが望める反面、
慣性力が不足することで、低速域がぎくしゃくしたり、軽くし過ぎると逆に高回転が回りにくくなる場合もあるようだ。
例えるなら、円盤投げの錘のようなもので、重すぎても軽すぎても飛距離は伸びない。
まあ、クルマのレースパーツみたいに、
重量をノーマルのはんぶん以下にしちゃうような極端な軽量化じゃないから………。



…………………。


手段のために目的がすり変わっているという突っ込みに関しては、
華麗にThroughします!<( ̄^ ̄)>


それでは組んでみましょう。

吉と出るか凶と出るか。
答えはやってみなくちゃわからない、大科学実験!ぜんぜん科学じゃねえけど。


・ガスケットは破けてない限り、2〜3回は再利用しますw


空吹かしすると、確かに回転の上昇が速くなっている気がする。
しかし劇的に違うというほどではない。アイドリングの回転数も変わらない。

走り出して先ず気づくのは、振動が減って加速がスムースなこと。
(これまでに比べると)あまりに滑らかで、排気量が小さくなったかのように錯覚してしまう。
しかし、メーターを確認すると、スピードはノッている。
高速道路では、更に違いを感じることができる。
刀の特徴でもある4,000〜5,000rpm付近の微振動が激減して、クルージングが異常にラクなのだ。

エンジンブレーキも弱くなった。
ふつうはレスポンスが良くなると、エンブレって強くなるものなのだけれど…。
回転落ちが鈍いわけじゃないから、
おそらく軽量化の恩恵で、抵抗そのものが減っているのだろう。
この感覚は初めてクランクケース減圧バルブを付けて走ったときのそれと少し似ている。

「フライホイールを軽量化し過ぎると、上が回らなくなるよ」と、SOHCエンジニアリングのWさんから聞いていたが、
純正のアウターローターを削る程度なら、そこまでの悪影響はなさそうだ。
アクセル開度にきちんと付いてくるし、澱みなく高回転まで吹け上がる。
僕の場合、サーキットでもメーター読みで8,500rpmくらいまでしか使わないけれど、
タコメーターの反応が経年劣化でが鈍くなっている(つーか針折れてる)から、実際はもっと回転っていると思う。

開け始めが優しく回転上昇がスムースだから、
極低速域を多用する街乗りから、中高速のワインディング、更にはサーキットまで、
ほぼすべてのシチュエーションでバイクが以前より扱い易くなっている。

おまけに燃費まで向上したようだ。
僕の刀の燃費はツーリングで13〜14km/L前後。
しかし、軽量フライホイールを投入して最初の給油で、ちょー久しぶりに15km/Lを超えていて驚いた。
たまたまかと最初は思ったが、その後も以前と比べ、平均して1km/Lくらい良い。

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吹けは軽いし、振動も減った。街乗りや高速クルージングはラクになった。扱い易く、よく回転り、燃費もいい。
と、ここまではいいことづくめなんだけれど…。


もうひとつパワー感が足りない気がする。


………気がするだけだと思うんだよねえ。
というのは、パワーロスを感じる原因が、サイレンサーに開いた大穴のせいかもしれないから。


・さすがに何とかしなきゃと思っています。今年は車検もあることだし。


何ンか、塞いでもすぐまた削っちゃうと思うと、なかなか手をかける気にならなくてさw

投入してまだ2ヶ月ほどだから、耐久性など未知数な部分はあるけれど、
フライホイールの軽量化は、総じてお勧めできるチューニングメニューだと思います。
軽量化の度合い次第で効果もまた変わってくる筈。

興味があるひとはHu-techに問い合わせてみてね。

Special THANKS:Hu-tech    

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