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いつものように袖ヶ浦フォレストレースウェイでサーキット遊びを愉しんでピットの片づけを終え、 さあ帰ろうという矢先の出来事だった。
「パキーンン!」
なになになになに!?
セルを押した直後、刀号からモノスゴい金属音が炸裂。 慌ててエンジン停止。恐る々々、もう一度、始動してみる。 「ずぼぼぼぼ」 あれ、ふつうじゃん? もう一度………。 「きゅっ、きゅっ、きゅ、………、きゅ“ぱき”ずぼぼぼぼ。」 バッテリーが死にかけているのかな。 セルを回すパワーが足りなくて、クランクを回し切れずケッチンを喰らったような、そんな音。 そのときはそう思ったのだが、今一つ確信はなかった。 バッテリー上がりの経験は過去に何度かあるけれど、こんな症状は初めてだったから。 幸い、その日は自走で帰ることができた。 そして、パキーンの原因は、まったく別のところにあったのです。
翌週、新しいバッテリーに積み替えてエンジン始動。 「パキーンン!」 ん。スターターリレーから一瞬、煙が出たような気がしたぞ。こいつか? スペアのリレー(オクでゲトした中古)に交換して、エンジン始動。 「パキーンン!」 スタータークラッチがイカレたのだろうか。 ジェネレーターカバーを外して様子を見てみる。 フライホイールプーラーを持っていないので、これ以上バラすことはできないが、ぱっと見は問題なさそう。 (磨耗したスタータークラッチは微妙に歪んでいるので、触診でおおよそのコンディションがわかる) 数年前に新調しているから、ここのトラブルは考えにくい。
「パキーン!」
セルモーターかな。こないだブラシを新調して、アーマチャコイルを磨き直して貰ったばかり。 とはいえ、何か不具合が起きたとき、原因が直近に施した変更であることは多い。 スペアのセルモーター(オクでゲトした中古)に交換して、エンジン始動。
「パキーン!」
何処かでリークして、 セルに充分な電圧が供給されていないのかもしれない。 外装とタンクを外して、配線の被覆が削れたり端子が焼けている箇所がないか、ねっとりとチェックする。 この際だから、経年劣化で変色したコネクターやギボシを新しいものに交換したり、 配線が引っ張られたり擦れたりして負荷がかかっていないか、取り回しも改めて見直す。 リークはない(筈だ)。アースも正常に落ちている(たぶん)。
「パキーンン!」
ここに至って、僕は自力で原因を突き止めることを諦めた。 一度エンジンが始動してしまえば、ふつうに走ることはできる。 しかし、異常が発生していることは明らかであり、このまま放置しておけば取り返しのつかないことになる。 そんな予感があった。 同じエラーを何度も繰り返し、見当外れのトラブルシュートを続けて、 これ以上、エンジンに負担をかけるわけにはいかない。 ボスの出番である。 (つづく)
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