Last Update:2003/03/15
Wisecoのピストンを組んでみよう <その1> シリンダ分解編
そらいろ号のエンジンから異音が聞こえる様になったのは、昨年の暮れのこと。
アイドリング時はなんともなくて、3,000rpm以上になると大きくなってくる。
聴き慣れたシングルビートとは別な、金属を叩いている様な、嫌ーな音だ。
ただ、エンジン自体の調子はそれほど悪くなく、きちんと上まで回転すこともできる。
バルブクリアランスが狂っているのかと思って調整してみたが、目立った効果はなかった。
Hu-techの仁衡さんにも聞いて貰ったが、「これくらいなら気にしないほうがいいかも…。」と言う。
想像だが、長年の使用でバルブフェースとバルブシートの当たり巾が広くなり、
バルブの打音が大きくなっているのではないかということだった。
シートカットすれば直るかもしれないが、保証はない。
暫くは我慢して走っていたけれど、
問題があるのは、普通に走っていて一番気持ちのいい領域だから、どうしても気になる。
とりあえずヘッドを開けて、中の様子を見てみることにした。

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気になっていたのは異音ばかりではない。
シリンダー前部からのオイル漏れ。実は、ずいぶん前からあったのだ。
時々、パーツクリーナーで落としておけば問題ないレベルだったが、最近は少しづつ酷くなってきていた。
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ヘッドカバーを剥ぐってみたところ。
カムや軸受けの齧りは殆んどなく、意外なほどきれいだった。
3万km以上を走ったビッグシングル、おまけに18年前の車両であることを考えれば上出来。
ちなみに、エンジンを車体に搭載したままSRXのヘッドカバーを外すのは、かなり面倒である。
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カムシャフトを外すと、カム山が並々とオイルに漬かっていたことが分かる。
ふむ。多少の放置期間を置いても、油膜切れを起こさない工夫なんだね。
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このエンジンのロッカーアームはヘッドカバー側に付いている。
カム山と当たる部分や、バルブアジャスティングスクリュの状態もどうやら良好。
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燃焼室の具合も悪くない。
アンバランスなカーボンの付き具合は、たぶんヤマハお得意のYDISに起因するものだろう。
シングルエンジンの癖に二つあるSRXのキャブレターは、
低中開度域でプライマリ(VM)のみが作動し、セカンダリ(SU)はお休みしている。
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直径96mmもあるビッグシングルのピストンはやっぱり迫力。
多少カーボンが溜まっているけれど、この程度なら全然イイよ。(当社比)
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クランクさんこんにちは。
後でピストンを外す時、ピストンピンがなかなか抜けなくて大変だった。
ピン穴にカーボンが堆積していたのが原因で、多少吹き抜けがあった様子。
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ここまでばらすつもりはなかったのだけれど、せっかくだから、ちょっと悪戯しちゃいましょうか。
ただ組み直すだけでは芸がない。
部品にこびりついたカーボンを落として、バルブシートカットして、バルブとバルブスプリングを新調して、
ついでにWisecoの鍛造ピストンに。
あーあ、悪乗りしはじめちゃったよ…。
<その2> STDピストンとWisecoピストンを比較する編 に続く。
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