車両を譲り受ける約束をしたその日のうちに渡辺さん(鍛冶屋さん)に連絡を取り、 厚木のSOHCエンジニアリングに足を運んだ。 刀のエンジンをフルO/Hする。 やるならピストンはSOHCエンジニアリング一択と決めていた。 当初はヘッドやミッション周りなど、 使い込んだ僕のエンジンより状態がよいだろうと思われる部品を友人の刀から移植して…。 そう考えていたのだが、 渡辺さんの提案は思いもよらぬものだった。 鍛:「エンジン二機もバラすよりさ。その刀のエンジン仕上げて、載せ換えちゃえば? メーター距離が実走なら、中の状態は(10万km走ったエンジンより)ずっといい筈だよ。 予算もぐっと抑えられるし。 刀の排気バルブは一本5千5百円以上する。 吸気側は4千7百円くらい。それが8本ずつで合計16本。 バルブガイドやシートの打ち換えが必要となれば、ヘッド廻りだけで軽く20万以上飛んじゃう。 (刀のエンジンやろうとするひとは)それでみんなビビっちゃうんだよw おれの勘だけど、たぶんヘッドは生きていると思うね。 そうすると、浮いたお金でウエットブラストをかけて、 外観をキレイにするという選択肢が出て来るわけ」 さしたる抵抗もなく、すとんと腑に落ちてしまった。 長い年月を共にしてきたじぶんのエンジンに思い入れがないわけじゃない。 でも、積み換えるのがあの刀のエンジンなら、それも良いんじゃないか。
・SOHC製73mm(圧縮比11.5)と比較用に持ち出されたノーマルピストン。「Wisecoなんかと比べないでくれる?」と渡辺さん。
スペックは以前からチェックしていた1100用 73mm(画像)が筆頭候補だったが、 ここでも渡辺さんから意外な提案が…。 鍛:「あのね、今ね・・・・・なピストンのお話がありましてね…」 おっと、詳細はまだ内緒w 僕:「19インチバイアスのまま、袖を17秒フラット、 乗り手が僕レベルでも、筑波換算で8秒台を狙える、そんなエンジンになりますかね? (そもそも筑波のライセンス持ってないけどw)」 鍛:「行けると思うよ。(ライダー次第でね!w)」 予算はこれこれこんな感じで…。 ふんふん。それくらいならなんとか…。おおよそ覚悟していた範囲には収まりそう。
・渡辺さん、本日は急な連絡にも関わらずご対応ありがとうございました。
基本的な方針が決まった。 往年の時代の生き証人である渡辺さんに、 ピストン製作とヘッドの仕上げとシリンダーライナー打ち換えボーリング、主要部品のチェックとクランクのバランス取りを依頼。 腐食が激しいエンジンの外観はウエットブラストで仕上げる。 組み立ては毎度お馴染み墨田のバイク屋“Hu-tech”。 本来であれば、まるっとぜんぶ渡辺さんにお任せした方が話はスムースなのだが、 かつて開店して間もないHu-techの(けして広くはない)作業スペースで場所と工具を借りて、 ろくな工賃も支払わずに今使っているエンジンをO/Hさせて貰った手前、 今回こそ、ちゃんとした仕事として、エンジンのリビルドを依頼したい気持ちがあった。 飛馬さんが組んでくれたエンジンに乗るのは、僕の長年の夢でもあるのだ。 第一、ぜんぶ渡辺さんに任せちゃったら、ピストン組むとこ見れないじゃんね? やっぱナマで見たいし、じぶんの手で愛でたい触りたいという、男のコとして至極まっとうでえっちぃ願望には抗えないw