カタナ月記
First Update: 2002/07/29   Last Update: 2013/05/14 ※2013年現在のセッティングを追加。本文もちょっと修正。

FCRキャブレターのセッティング表

うちの刀のキャブセッティング表です。
車体には個体差があるし、仕様が違えばセッティングも変わる。乗り方が違えば好みも変わる。
だから、同じにしたところで必ずしも同じ結果が出るとは限らない。

その辺りを踏まえたうえで、
興味がある方は、なんとなく参考にしてみてください。

スライドバルブのかたかた音は
セッティング次第で殆んど消えます。
口径は37φ。基本的にずっとエアファンネル仕様。
個人的にFCRの吸気音が好きだし、セッティングもやりやすいから。

レーシングキャブなんだから、ストイックに愉しみたいじゃないですか(笑)

≪スロットル開度ごとの評価基準≫

     ×(問題外) → ▲(やな感じ) → △(走れないことはない) → ○(良い) → ◎(すばらしく良い)


N/Aは『No Action』で、テストを実施していない部分。

比較的まともに走るようになったのは、No.8以降からです。

そこに至るまでに、実は1年くらいかかってる。
なんとも手際が悪いけれど、素人だし、そもそも初めてだったんだからしようがないよね。
公開している以外にも様々なセッティングを試していますが、
だめなものを公開するのもなんなので、適当に端折っています。

≪セッティング表≫

No. セッティング スロットル開度 コメント
PS AS SJ JN-段数 MJ MAJ 1/8 1/4 1/2 3/4 4/4
0
1+1/2 1+1/2 50 0CFMQ-2 152 200 出荷状態のセッティングに、PS/ASを軽く調整しただけ。
このままでも結構ちゃんと走るけれど、
1/8〜1/4あたりで「くいっ」と開けると失速する。
1
<002>
1 1+1/2 52 0CFMQ-2 152 200 × 低速でまともについてこない。
1/8〜1/4でのトルク谷が顕著に。
2 1 1+1/2 50 0CFMP-2 152 200 ノーマルマフラー(輸出仕様)でのセッティング完成。
ツキも良く、全域でフラットなトルク。非常に乗りやすい。
季節の変化による対応も、特に必要なし。
しかし、テックサーフのマフラーに交換した後は、
全体に薄くなってしまった様子。
走れないことはないが、パワー感がぜんぜんない。
3 1 1+1/2 52 0CFMP-2 152 200 N/A 再セッティング開始。マフラーのバッフルは付けた状態。
SJからまずは濃い方向を探る。
1/4まではレスポンスが良くなったが、その上は伸びない。
4 1 1+3/8 52 0CFMP-3 152 200 クリップ段数を下げる。
目的はスロットル開度1/4以上でのレスポンス改善。
いくらか良くなったので、更にこの方向で進める。
1/2以上を開けていくと、パワー感がない。
5 1+1/8 1+3/8 52 0CFMP-4 158 200 クリップを更に下げ、MJを上げる。
1/2前後の繋がり向上。トップエンドはOK。
だがややドン付き傾向があり、プラグも黒ずんでしまった。
6 1+1/8 2+1/2 52 0CFMP-3 155 200 MJをちょっと絞り、クリップも元に戻す。
プラグの焼けはまずまず。しかし、梅雨明け後は、
油温が上がるとアイドリングが安定しなくなった。
夏セッティングになってしまったのだ。
とりあえず、ASを開けて調整してみる。
7
<004>
1+1/8 2+1/2 52 0CFMP-4 155 200 N/A かなり良くなってきたが、大切な開けはじめが今ひとつ。
パワーチェックのため、好結果を期待してバッフルを外す。
グラフを見ると、やはり2〜3,000rpmで
顕著なトルクの落ち込みが見られた。
No. セッティング スロットル開度 コメント
PS AS SJ JN-段数 MJ MAJ 1/8 1/4 1/2 3/4 4/4
8
<007>
1+1/8 2+1/2 52 0CFMP-5 155 200 全域でバランスよく、乗りやすい。
ノーマルとの大きな違いはレスポンスの良さと燃費の悪さ。
キャブ交換後、燃費は4〜5kmほど落ちて、
ツーリングで16km/L前後になってしまった。
夏向けセッティングの標準とする。(※)2002年8月頃実施
9
<009>
1+1/8 2 52 0CFMN-5 155 200 冬向けのセッティング変更。
中低速が薄い様なので、
JNのストレート径を濃い方向に変更してみた。
半年近くかけてエンジンをOHした後だから、
季節の変化だけがセッティングがずれた理由なのか、
厳密にはわからない。
2002年11月頃実施  (2003/03/29 追加)
10 1 2 52 0CFMN-5 158 200 ○+ ○+ MJは、一般に1/2以上の領域で効くことになっているが、
実際は全ての開度で一回り力強くなった。
キャブの穴は全てメインボアに通じていることを改めて認識。
プラグの焼け具合もGOOD。
冬向けセッティングの標準とする。
2003年2月頃実施  (2003/03/29 追加)
11 1+1/8 2 50 0CFMP-5 158 200 2003年夏のセッティング。No.8がベース。
昨年やってみたいと思っていた方向性。
上の伸びが素晴らしかった158番のMJを使うことを前提に、
その影響で濃くなってしまった下の方の帳尻を合わせる。
(と言っても、SJをちょっぴり絞っただけだが。)
去年の夏セッティングより、低中速の繋がりがナチュラル。
2003年7月頃実施  (2003/07/19 追加)
12 1+1/8 2+1/2 50 0CFMN-5 158 200 ○+ ○+ 2003年冬のセッティング。No.11がベース。
JNを一ランク細くしただけ。
去年の冬セッティング(No.10)に戻すならSJは52。
手抜きしてJNだけ変えてみたら、これが良い。
開け始めのビミョーな部分の付きが柔らかく、
とても乗りやすくなった。
2003年12月頃実施  (2003/01/07 追加)
No. セッティング スロットル開度 コメント
PS AS SJ JN-段数 MJ MAJ 1/8 1/4 1/2 3/4 4/4
13
1+1/4 1 48 0CFMP-5 158 200 ○+

NAG S.E.D.の永冶氏に手直しして戴いたセッティング
ベースはNo.11。
それまでも特に不満は感じていなかったのに、
開け始めがよりスムーズになり、
全体の繋がりも良くなった。標高が下がると、更に好印象に。
時間があれば、もっと煮詰められたかもしれない。
聞けば、セッティングに不満を感じてい人は、殆どの場合、
下が濃過ぎて、その影響で中間域がだめになっている
らしい。

(※)SJ48は過去に試して、ツキが悪かったためにNGを出していた。
ASを戻し過ぎて薄くなっていたのかもしれない。

2006年5月末実施  (2006/06/10 追加)

14
new!
1 1+1/2 48 0CFMP-5 158
(1番と4番は155)
200 ○+

春から夏への季節の変わり目で、
アクセル開度1/4以下で少々グズつく感があったため、
ほんの少しだけ、PSを締め込みました。
あと、プラグの焼けを確認して、
熱的に厳しい2番と3番のみMJを158とし、
1番と4番は155に落としました。

経験的に夏セッティングで冬走るのは割と大丈夫だけれど、
その逆は、かなり不快です。

現在は、通年このセッティングです。(2013/05/14 追加)

≪ダイノマシンによるパワーグラフ≫

2002年7月までのデータ。
前半はめろめろ。
2002年7月
<002>(No.1)、<004>(No.7)、<007>(No.8)

 

2003年3月のデータ。(修正じゃなくて、実測。)
赤線は左のグラフの『007』と同じ。
二山のパワーカーブは、4into1の特徴。
2003年3月
<007>(No.8)、<009>(No.9)

このグラフでのパワーカーブの差はセッティングではなく、主に計測した季節の違いによる
具体的には、気温が低く空気が乾燥して気圧が高い冬の方がパワーが出る。


最初の頃の不安定なパワーカーブを見ると、僕の迷走っぷりがよく分かりますね。

どのグラフも4,000〜5,000rpmで一息つくけれど、4-1の集合管だと大抵そうなるみたい。
実走での不具合は殆んどなく、知人に試乗してもらってもトルクの谷を指摘した人はいなかったです。

セッティングの具体的な方法について、ここで詳しくは触れません。
僕にそれを語るほどの経験があるとはとても思えないし、現在は優れたマニュアルがふつうに手に入るから。
でもまあ、下からだんだん濃く(または薄く)して、悪くなったら戻して、
…という単純作業の繰り返しです。
経験のある人なら、上の表の流れを見て「なるほどね」とイメージが湧くかもしれません。

ヨシムラジャパンのHPに公開されているTMRのセッティング方法がわかりやすくて便利で、昔から個人的に重宝しています。
ここで使われてるのはTMRだけど、やり方はFCRと変わらない。
(当たり前だけど、ジェット類に互換性はないです)

備忘録
キャブレターのセッティングは確かに大変だけれど、狙いどおりに決まったときの嬉しさと充実感は格別です。
これは性能向上だけに留まらない、リプレイスキャブの素敵なメリットだと思う。

ただ、外した時の走行テストは怖いから、できればもう体験したくないなあw

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